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ヨウリンが代用教員になった時、まだ14歳であった。この年、彼女が直接面談の結果入学を希望した五人の中には、13歳の学生がひとりいて、その年の差は1つぽっきり、先生14、学生13、6(以上女子)10、9、8(以上男子)、平均10歳半の学級集団であった。もちろんこれでひとクラス。ヨウリンは、色黒でやせっぽちのチビだったので、外見から先生らしさを探すのは少し無理があった。新学期になって、村人たちは今度の先生は、中学卒業したばかりの女性だとは聞いていたらしい。入学申し込みの日、親たちは子どもを連れてやってきたが、ヨウリンをひと目見て、驚きと不安の色を隠さなかった。自分の子どもより小さな先生に教えられるだろうか。ある親は失望して子どもを連れて帰ってしまった。結局手続きをすませたのは、先のような年齢の5人であった。
これより数年経った頃のヨウリンの写真を見ると、痩せてはいるが背は十分に高い。20代も後半になった現在は160cmぐらいはありそうだ。
「急に背が伸びたんだ。いつ頃のこと?」
「代用教員を始めてからは、もう毎日が夢中だった。気がつくと伸びていた。その頃は毎朝必ずおかゆを食べて学校へ行き、昼も学生たちと共に、何か口にしたような記憶があります。背が伸びたことは自分でも不思議で、そのわけを考えてみたの。中学の頃は食べたり食べなかったりでした。」
このあたりの村々では、最近まで、一日2食が普通であった。いまでも小学校3年までは、一般に家から通学のかたちをとっているが、弁当といえるものを持ってくる子どももいれば、おやつをポケットに入れている子ども、中にはまったくなにも食べない子どもたちもいる。昼ごはんの時間は、現在も決ってはおらず(とは言え昼の休みが一番長いには違いないのであるが)、学生たちは休み時間になると少しずつ食べたりしている。弁当といえるものとしては、ふたつきの入れ物が机の中かそのまわりに置いてあって、気の向いた時に、彼らはふたを開けて食べている。椅子に坐って食べるとは限らない。立ったままで食べたり、歩きながら食べたりしている。弁当は一般にご飯の上に菜っ葉の炒めものか漬物を細かく刻んだものがのっている。休み時間にものを食べるのを初めて見た時は、かなり驚いたが、そこにはこの土地の事情があるのだ。近くの村から通う子どももいれば、ひと山を越えて通う子どももいる。子どもたちそれぞれ腹時計は違うのである。
ヨウリンが規則的に食事をした時期に背が伸びたと考えるのは、その通りかもしれない。
はじめの頃、黒板を使おうとすると、すぐ金具が外れて落ちてくる。手が届きにくいので引っ張ると、ガタンと落ちる。するとすぐに背の高い学生が掛け直してくれるのだった。ヨウリンは、自分のチビぶりを思い出して、何度も笑った。
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