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希望の作りかた

 1997年6月にパキスタンへ赴任して驚いた。人々に笑い顔がない。希望がない。みんなの表情がいかにも深刻だ。無理もない。当時は公務員の30万人の削減計画が進行していたし、政権はパキスタン人民党(PPP)からモスリムリーグ(PML)へと大きく交代し、それに伴いスタッフなどの首切りなどが進行していた。経済状態は極度に悪く、みんな暗い顔をしている。50年間のパキスタンの歴史ではいつもこうしたことの繰り返しで、もう慣れきっていると言っていたが、みな淋しげに笑っていた。

 政権が変わると多くのプロジェクトが完全にご破算になり、プロジェクトが中途で破産してしまうのだ。政治が安定していないと、永遠に工事は完成しない。腐敗が蔓延する。こうした深刻な国内の状況を見ながら、私はこうした中では、まずなによりも人々を励ますことが大切だと思った。どうやって元気づけるか。みんなの希望や夢を聞いてみると、異口同音に「海外で働きたい」、「問題は資金のみ」と出会う人すべてがそう言った。しかし私は、これまでのように資金や大きなプロジェクトを供与するのではなく、パキスタンの実情にあった小さくても確実な゛希望゛の作り方を、彼らと一緒に実践してみたいと思った。それほどこの社会の政治や官僚の腐敗度はすごかったし、人々は自らの国や人生に希望をもっていなかった。

 こうした状況で子どもたちにどんなメッセージが送れるというのだろう。「洞窟の暗闇の中で、ある男が箒で闇を掃き出そうとしている物語がある。彼がどんなに懸命に闇を掃いても闇を掃き出せず嘆いていると、誰かが小さな灯りをもって入って来た。そしてたちまち闇は消えてしまった。」 この寓話のように希望とは闇を掃き出す努力ではなくて、光をつくるものであるかも知れないと思った。こうして誰でも実践できる灯りのような“希望”の作り方を識字教育の上で実践できたらなと思った。